キタハラの獣害対策 Vol.3 防いで、獲る。
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電気さくに関しては、実際に電気さくを使っている人たちの中でさえも、多くの誤解が存在します。大きく分けると、電牧器の適正距離、「慣れたら効かない」「電圧が高い電牧器は良い電牧器」などの性能に関する誤解と、安全性に関する誤解、また「猪は夜行性だから夜だけONにすればよい」といった利用方法の誤解があります。誤解その1 電気さくは慣れたら効かない?野生動物が電気柵に慣れることはありません。慣れるのではなく、使っているうちに管理が甘くなり、適切な設置状態ではなくなってしまうから侵入を許してしまう のです。電圧の低い電気さくでは、動物に「近寄りたくない」という心理的効果を与えることができないばかりか、舐められてしまいます。こうなってしまっては、再び心理的効果を与えるためには、適切な管理状態に戻すだけではなく、以前より段数を増やしたり、より強力な電牧器に変える等して柵そのもののバージョンアップも必要になります。誤解その2 漏電管理が大変?漏電管理を怠ることで適切な状態を保てなくなるのは確かですが、実際の状況に応じた強い電牧器を使えば、下草刈りの頻度は大幅に少なくなります。そのためには、500Ωの抵抗で5000V以上の電圧を出せる電牧器を使用すべきで、距離が長ければ更に強い電牧器を使うべきです。 500Ωという抵抗値は、かなりの漏電量ではありますが、管理の甘い方であれば出現しがちな漏電状態です。 この程度の漏電で3000V 以下に電圧が落ちてしまう電牧器を使うのであれば「漏電管理は大変」というのは正しいことになります。しかし、それは強い電牧器(次項参照)を使うことで、劇的に軽減される問題なのです。なお、上記基準よりも弱い電牧器も、ごく小さい家庭菜園や、常時管理可能な状況であれば有用です。 誤解その3 電圧が高いほど強い電牧器電牧器の性能(強さ)と、電牧器の最大電圧は何の関係もありません。最大12000Vの電牧器が、最大8000Vの電牧器よりも遥かに弱いということは、何ら不思議はありません。電牧器の強さは、漏電や距離延長などの不利な条件下でどれだけ性能を発揮できるか、ということです。無負荷で12000V出ていても500Ωの漏電で2000Vになってしまう電牧器より、無負荷8000Vしか出なくても500Ωでは6000V出る電牧器の方が遥かに優秀だといえます。 どの程度の漏電まで許容できるかは、電牧器の最大出力エネルギーと概ねパラレルになります。最大出力エネルギーが大きいほど、漏電に強いと考えても良いでしょう。ただ、最大出力エネルギーは必ずしも公表されているわけではありません。そこで、電牧器の強さを比較するのであれば、 1000Ω、500Ω、200Ω等の抵抗毎に電圧を測定し、電圧の落ち具合を比較することになります。誤解その4 電牧器の適正距離電気柵の適正距離、実用距離、推奨距離等の言葉が各社のカタログ上記載されています。これはその会社の製品の中での性能の優劣を表しているに過ぎず、他社製品との比較においては意味を持つ数字ではありません。 何を以て適正・実用とするかの共通の基準がなく、主観が大幅に入るうえ、想定する条件(漏電量や使用するワイヤー等)が異なるので、比較のしようがないのです。全く同じ能力の電牧器について、実用距離500m用とする会社と、2000m用とする会社があっても不思議はありませんし、実際にそのような現象が起こっているのです。なお適正距離についても、電牧器の最大出力エネルギーと概ねパラレルになります。より長い距離で使用可能な電牧器であれば、漏電管理も楽になる、ということになります。21

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