未来のアグリ株式会社(旧北原電牧株式会社)    

――有害鳥獣対策とは?――
  基礎編――二つの手法 
    電気柵
    物理柵
  実践編――動物別戦略
    イノシシ
    シカ
    サル
    クマ
    その他(中型ほ乳類)
    AdvancedDefence
  囲い込み捕獲
  有効利用――おいしく食べる
  各種捕獲罠
  耕作放棄地放牧のススメ 
=現場の専門スタッフから=
  FAQ
  リンク

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防ぐ――Defence

 私たちは野生動物の防除に「普遍的な最善」は存在しないと考えています。環境が異なり、個性も異なる哺乳動物が相手であり、管理する側もスタンスがまちまちだからです。例えば、どんなに立派な電気柵を使っても、それを管理する能力や気力がない人が使えば、漏電して容易に侵入できる電気柵を学習させてしまい、かえって悪い結果を引き起こします。また、2.5mの頑強なフェンスを設置しても、周りの高さによってはシカがジャンプすることも考えられますし、クマやサルなら何の苦もなく乗り越えていきます。ですが、具体的な環境の中で、特定の動物種の侵入を100%「近く」防ぐことは可能で、そのためには場所や動物、管理する人に合わせた防除方法が必要です。
 そこで、防除を考えるにあたっては以下のような項目を考えるとよいと思われます。@の対象動物に合った対策をとるのは必要条件であり、これを前提にABCDなどの優先順位を考えることで、選択肢が決まってきます。Eはそのうえで、現場対応の対策です。

@対象動物は何か
 
動物の特性に合わせて対策は変わってきます。クマを物理的に防除しようとしたら大変なコストが掛り、事実上不可能でしょう。サルもかなり困難です。動物によって超えられる高さも違います。動物の性質や能力を知った上で対策を考えなくてはなりません。当ホームページは、対象動物別に分けたうえで、以下のA〜Eを考慮した設計を提案する、という構成を採っています。
 

A施工にかけられる手間はどの程度か
 公共事業などで建設業者さんが設置する場合は、太い杭を深く打ち込んだりすることもできますが、農家さんが施工する場合はそういうわけにはいきません。場合によっては50mm程度の鋼管杭さえ打ち込むのが困難な人もいるでしょう。施工可能な資材でなければ設置できないのですから、防除方法を考える上で極めて重要な要素です。   
B管理はどの程度まで可能か
  電気柵を使用するのであれば漏電管理が重要な条件になります。これが十分にできないのであれば電気柵をあきらめて物理的な対策を採るべきです。
 

C掛けられるコストは
 同じような機能を持つ柵でも、施工性や強度などほかの要素を多少犠牲にすることでコストにもバリエーションが生じます。

D求められる耐用年数。物理的強度
  部材の強度(破損・劣化しにくさ等)はコストとも関連し、構造としての強度(倒れにくさ等)は施工性とも関係してくるところです。強い資材は弱い資材より高いし、倒れにくい構造は倒れやすい構造よりも施工が困難です。全部にいい顔はできません。

E現地にあった対策
 イレギュラーな地形に対応した対策が必要です。イレギュラーである以上画一的な対策はできませんので、当社も製品として様々なイレギュラー地形に対応する資材を用意しているわけではありません。ただ、多くのスタッフが経験上「こういう場所はこうしたほうが良い」という目は身につけています。


 以上を踏まえて対策を講じるわけですが、野生動物の防除方法は大きく分けてT物理的防除U心理的防除に分けることができます。これらの区別については、基礎編をご参照ください。
 一般に心理柵の方がコストが掛らず、その代償として管理が重要になります。物理柵はほぼメインテナンスフリーですが、動物の潜みやすい環境を作らないためにも、適度な草刈り等の管理はすべきでしょう。



獲る――Capture

現在の日本の有害鳥獣対策―――鳥獣三点セット 
 有害鳥獣の扱いについては、環境省から各都道府県に向けて降ろされている告示(環境省告示2号)、そしてそれを元に各都道府県が自らの環境をふまえて策定した指針『鳥獣保護事業計画書』の元で、実際の有害鳥獣対策は行われ得ます。根拠法は、いわゆる『鳥獣保護法』です。
 その中で重要な概念が「防除前提の駆除」という原則。これは、防除と駆除が並列ではなく、「まず必要と思われる防除を施す。それにもかかわらず防げないケースにおいてその動物または個体を捕獲駆除を認める」という考えで、いわば防除と駆除は直列関係にあります。

動物種による対策の方向性
 次に重要なのが、「野生動物の種別による管理スタンスの差異」でしょう。上の原則論をふまえた上で、シカやイノシシのように現在の日本の環境では過剰に増え森林・農地への被害が甚大となる種については、捕獲駆除を重視した対策がとられていますし、昨今増えた外来種のうち特に環境・生態系への悪影響が大として特定外来生物に指定された種は、捕獲駆除が主対策となっています。一方、エゾクロテンなど絶滅が危惧される野生動物は捕獲禁止となっており、錯誤捕獲された場合は速やかに放獣する必要があり、クマ類などは、その一歩手前の扱いで、防除・追い払い・捕獲放獣などの非致死的措置が重要視されています。また、サルの駆除は群れの分裂を引き起こす可能性があり慎重にずべきなので、防除が重要になってきます。
 このような事情から、現代では、害獣は何でも殺せばいいという考えがないのと同様、野生動物は何でも保護すればいいという考えもありません。

 当社では、環境省・各都道府県の前提とする「防除」に関して精度を上げるとともに、上の鳥獣三点セットに則して、捕獲についても積極的に取り組んでいます。

 地域性もあり一概に言えませんが、生態・繁殖力・生息数などから「保護必要性」と「駆除必要性」を考慮したスタンスは以下の通りです。

 

動物種 保護
必要性
対策方針
シカ・イノシ 防除を重視しつつ捕獲技術を開発・有効利用も模索
「囲い込み捕獲」など)
サル 複合フェンスを主として防除対策 
クマ(ヒグマ・ツキノワグマ) 電気柵を主とした防除対策
キツネ・タヌキなどの在来中型ほ乳類 防除重視
アライグマ・ハクビシンなど外来種 防除をしつつ駆除重視
エゾクロテンなど絶滅危惧種 防除




 当社は 従来の獣害対策に工夫を重ねるだけでなく、全く新しいタイプの獣害対策にも積極的に取り組んでいます。自然を相手にするものですから、 机上で出来上がってしまうようなものはなく、現場での試行錯誤の繰り返しです。

 例えば電牧樹脂ネット。(写真@)80年代後半から 電気さくによる防除が急速に普及しましたが、 それ以前には漁網を鹿防除に使うことが広く行われていました。電気さくは十分に効果的なものでしたが、設置の仕方によっては 地面との隙間からの侵入のリスクがあったため、これを解決するために開発されました。当初は漏電との闘いでしたが、防草シート や 金網との併用等でこの問題を解決しました。
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写真@
 金網自体に電気を流してしまうという試み 【特許:公開2002‐125572】(写真A)も、当初は被覆の劣化による漏電の問題が懸念されました。これは、 ペット線という絶縁の線を一段入れることで大幅に解消し実用可能になりました。現在これを100%満足いくレベルにすべく更に研究中です。
写真A

 サル対策には電気さくが不可欠と考えられていましたが、電気さくには漏電対策が不可欠という永遠の命題があるため、物理的な防除も模索しました。それがシート柵です。【特許:公開2003‐9754】その効果は、農水省の獣害研修会で講師から「完璧」と評されましたが、風の抵抗が大きいためそのまま実用化は無理でした。これも金網との併用によって解決 (写真B) 【特許:公開2009‐106215】 し、更にシート面積が小さくなることで生じる 「不完全さ」は電気さくとの併用で補強しています。
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写真B

―――今後も当社は、よりよい獣害対策を提案すべく、研究開発を続けます―――


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